はじめに
今回は、以下のように、現在までに治療にかかった費用と保険についての話を書きます。
- 現在までにかかった費用
- 高額療養費(自己負担限度額)について
- 限度額適用承認提について
- 付加給付金について
- がん保険と医療保険について
- 個室での療養について
- 団信保険のがん付帯、疾病付帯について
現在は、ほぼ回復して元気です。
大まかなところは、こちらの記事を参照ください。
では、興味のある方は、次項以降をお読みください。
治療費とがん保険の話
現在までにかかった費用
まず、がん治療のために現在(2022/09/24)までにかかった費用を公開します。
2022年3月に受けた人間ドックの超音波エコー画像と血液検査結果から肝臓に腫瘍と疑われる物が確認できたため、追加確認のためにいろいろな検査を受けたところから費用を積算しました。
その結果、
2022年3月から2022年8月までの窓口での自己負担費用は、689,827円となりました。
このうち、健保からの追加給付金として220,000円が支給されるので、実質の自己負担額は469,827円となります。
この自己負担金には、入院中は個室を利用していたので、差額ベッド代(5,000円/日)、入院中の食事代(460円/一食)や貸タオルや貸パジャマ代(440円/日)、退院後に処方された薬代、退院後の5回分の抗がん剤治療費が含まれます。また、7月に肺炎と血栓で8日間入院した時の費用も含まれています。
手術前に行った検査は、CT検査、大腸内視鏡検査、MRI検査、PET検査、CT検査(2回目)、X線検査、血液検査(数回)などを行い、これだけで自己負担額は13万円程になりました。
1回の検査にかかる費用として1〜3万かかるので、検査をするたびに積み上がる費用におののいた覚えがあります。全てカード決済にしていたので、カード利用明細に積み上がっていく医療費はストレスでした。
手元に何か残れば多少は良いのでしょうが、検査だから残るのはあっても結果の紙だけですしね。
しかも嬉しくない結果ばかりでしたし。
ここまでが、現在(2022/9/24)までにかかった費用となります。
高額療養費(自己負担限度額)について
次に、高額療養費(自己負担限度額)の制度について説明します。
通常医療費は自己負担3割ですが、今回の関谷さんのように手術を受けるなどして、3割の自己負担でも高額になる場合があります。この場合、自己負担限度額が設定され、医療費が自己負担限度額以上となる場合、高額医療費として払戻してもらえる制度があります。
簡単に言うなれば、自己負担限度額以上の医療費は戻ってくるという事です。
では、自己負担限度額はどのように決まるのかというと、標準報酬月額により決定されます。詳しくは、全国健康保険協会のこのページ(参照:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150/#tasuugaitou)を確認してください。
ここに記載されている表によると、区分(ウ)(標準報酬月額28万〜50万)の場合は、自己負担限度額が「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」の計算式で求められる額になります。この限度額以上の医療費については払い戻しを受けることができるようになります。
とても助かる仕組みですね。
限度額適用承認提について
でも、自己負担限度額が制限され、高額医療費が払い戻されることがわかっていても、一時的に窓口で支払うのは負担となります。
なので、あらかじめ医療費高額になり、自己負担限度額を超えることがわかっている場合は、
「限度額適用認定証」を発行してもらいましょう。
関谷さんの場合、5月に手術及び入院した際の医療費は、3割負担でも70万以上になりました。高額医療費として払い戻されることがわかっていても、一時的にこんな高額の医療費を支払うことはできません。そもそも、明細を見るまでどのくらいの医療費になるのかわからないので、いくら用意しておけばいいのかもわかりません。
このように、事前に医療費が高額になることがわかっている場合は、医療費の窓口負担額を減らすために、所属の健康保険組合に「限度額適用認定証」の発行を依頼します。この「限度額適用認定証」を医療機関に提示することにより、医療機関からの請求額を自己負担限度額までの金額に抑えることが出来ます。区分(ウ)が適用される場合(参照:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3020/r151/)、例えば医療費の窓口請求額が70万となったときは、「80,100円+(700,000-267,000円)×1% = 84,430円」となり、窓口で70万払わなければならなかったのが、84,430円で済むことになります。
入院や手術を予定している場合、必ず所属の健康保険組合に「限度額適用認定証」の発行を依頼しましょう。
ただ、1点注意しなければならないことがあります。
医療機関に「限度額認定証」を提示した月から適用されるので、高額医療を受ける前に提示できるように申請を行いましょう。
健保からの付加給付金について
健康保険組合によっては、追加の給付金を出す制度がある組合もあります。
詳しくは所属の健康保険組合に確認してください。
医療費の自己負担限度額が制限されても、ひと月に支払う医療費が高額になることがあります。この場合、所属の健康保険組合の仕組みによっては「付加給付金」が給付される場合があります。
以下の例は、関谷さんの所属する健康保険組合の場合です。参考としてください。
例えば、ひと月に同一医療機関に支払った医療費の合計が、33,750円以上になった場合、「その月の支払額合計×0.8-26,000円」に1,000円未満を切り捨てた額が自動的に給料と合算されて給付されます。この「付加給付金」を支給してもらうための申請は必要ありません。健康保険組合が医療機関から受取ったレセプトを元に自動的に計算して支給します。
ただ、支給時期は診察月のおよそ3カ月後になります。関谷さんは、5月に受けた手術と入院にかかった医療費の「付加給付金」は、8月の給料に合算して支給されました。
付加給付金を計算する上で注意しないといけないことは、差額ベッド代や食事代は対象外という事と、同一医療機関での医療費をひと月分合算するという事があります。例えば、複数の医療機関を受診し、合計の医療費が33,750円以上になっても付加給付金は支給されません。そのため、なるべく同一医療機関で診察してもらうようにするのが良いかと思います。
繰り返しますが、追加の付加給付金については、所属する健康保険組合の制度をご確認ください。
がん保険と医療保険について
関谷さんは、23年前の25才に結婚したときに嫁に言われて保険を見直して、月額5,000円くらいのがん保険に入りました。
その当時は、
がんになんてかかるわけがないし、がん保険はお金の無駄よね。
などと本気で信じていて、がん保険を勧める嫁と言い合いになったことがありました。
そして、がんにかからないとの思い込みは、つい数カ月前まで疑っていませんでした。
ところが、今年の3月にがんと診断されました。人生何があるかわかりませんね。
そして、がん保険のおかげで、これまでにかかった費用の全てを保険給付金で賄うことが出来ました。おかげでとても助かりました。
今にして思えば、コロナの前まで毎週末アホみたいに飲み歩いて明け方近くに帰宅するような放蕩状態が10数年続いていたのだから、何らかの異常をきたすのが当たり前で、がんにならないなんてどんな根拠で信じていたのかと、健康に気を付けていなかった頃の自分の首を絞めてやりたい気分です。
ちなみに、関谷さんのがん保険には、がん以外で手術や入院したときも保険が給付される医療保険についても付帯しておきました。そのため、7月に肺炎と血栓で入院したときも、2021年にコロナで入院したときも、2020年に痔の手術で入院したときも、給付金を受け取ることが出来ました。おかげでとても助かりました。
でも、関谷さんの入っていたがん保険は20年以上も昔のがん保険なので、20年間の医療の発展に合っていない条件になっていました。そのため、入院及び手術については給付条件に該当するのですが、抗がん剤治療での通院は給付条件に該当しませんでした。この抗がん剤治療も結構高額で、処方される薬代含めて1回に2〜3万円くらいかかるのよ。そして3週間に1回抗がん剤治療を行うため、地味に出費がかさむのよね。なので、現在がん保険を契約している人は、手術後の抗がん剤治療もカバーしてくれる保険になるように見直しておくのをお勧めします。最近のがん保険は、手術後の通院や抗がん剤治療も手厚くカバーできるようになっているようですからね。
言いたいこととしては、
30代になったら何らかの原因で入院することがあると見込んで、まずは医療保険を検討することをお勧めします。
そして、現在がんは2人に1人はかかる病気と言われています。関谷さんはこれに該当しました。
がんは早期発見すれば治る確率の高い病気でもあるので、手術費用と入院費用を賄うことのできるがん保険に入っておくことをお勧めします。
また、がん保険は、手術後の通院や抗がん剤治療もカバーしている保険であることをチェックしておきましょう。年齢にもよるけれど、月額3〜6千円くらいの掛け金で契約できるのではないかと思います。
また、確かに健康保険制度と高額医療制度で十分ではあるのですが、実際に病院窓口で支払う費用は馬鹿になりません。最初にお話しした通り、関谷さんは窓口でトータル69万ほど支払っています。
最近、高額医療制度があるのだから、医療保険はいらないとか、がん保険はいらないとか言っているYoutuber達がいますが、それは間違っています。なぜなら、以下のことを考えてみてください。
弱っている時に普段以上に医療費としてお金が出ていくのは地味にダメージを受けます。治療の終わりまでの費用が見えないとなおさらダメージが蓄積します。しかし、必要な費用が保険金で賄えると思えれば心は軽くなり、回復に注力することができるようになります。
回復に注力できるかできないかはとても重要です。
これは本当に、本当に、経験しないとわからないことだと思います。
個室での療養について
ちなみに、がん保険で入院費用が給付されることがわかっていたので、手術入院の際の病室は迷わず個室にしてもらいました。
個室を利用する場合は、差額ベッド代が一日5,000円発生しました。
でも、保険給付金で賄えるので通常の給与収入から費用を充てる必要がないし、同じ部屋に他の患者がいないため、気を使う必要も、煩わしい思いをすることもなく、静かな環境であるため、身体の回復に注力できる環境で回復に専念することができることから、迷わず個室を選択しました。
大きな病気の治療の時には、病室を個室にしてもらうことを強くお勧めします。
ちなみに、がん手術後の入院以外の入院(肺炎血栓入院、コロナ入院、痔の手術による入院)は、それほどナーバスになっていなかったし、体力も十分あったので相部屋にしていました。そのため、色々なドラマを経験することができました。
これがなかなかひどくて、思い出せるだけでざっとこんな感じです。
- 耳が遠い重症の患者の様態を看護師さんが確認に来て、昼も夜も大きな声で声掛けしてうるさい
- 夜中に何かを歌いだすおばあちゃん
- 昼となく夜となく万歳三唱するおじいちゃん
- 点滴などのケーブルだらけで絶対安静なのに動き出して何度も看護師さんに怒られるおじいちゃん
- 一日中どこかに電話しているお兄さん
- 泣きながら何語かわからない言葉でビデオコールしているおばちゃん
- 手術直後でナーバスになっていて看護師さんに泣きつくおばあちゃん
- 寝言やいびきや歯ぎしりやおならの音などがうるさい
- 夜中にしくしく泣いている中学生ぐらいの患者さん
- イヤホンを繋がないでテレビを大きな音量で視聴するおじいちゃん
など、とにかく騒がしくてイライラして我慢しなければならないことが多く、回復に注力できるような環境ではありませんでした。
なんというか、動物園に囚われた気分を味わいました。
団信保険のがん付帯、疾病付帯について
最後に、住宅ローンを契約する際の団信保険について話します。
一戸建てや、住宅用マンション購入時には、銀行などから住宅ローンを契約するかと思います。この時に、団信保険をつけることを忘れてはいけません。
一番簡単な団信保険では、契約者が死亡した場合に、住宅ローン残高に相当する保険金が支払われて住宅ローンを完済してくれます。この団信保険は、昔は契約者が死亡した場合のみが住宅ローン完済の条件だったのですが、最近では、がんや3大疾病や、がんを含む11大疾病にかかった場合に、住宅ローンを完済してくれる仕組みがあります。
何らかの重大な病気にかかり、仕事ができない状況になっても住宅ローンを返済し続けなければならない状況はかなり辛いものです。また、がんになっても最近はすぐに亡くなるわけもなく、発見時期や治療方法によっては、その後も長く生きることができます。
関谷さんの言いたいことは、次のことです。
団信保険には、がんを含む仕事が長期間出来なくなるような重大疾病にかかった場合に、住宅ローンを完済してくれる特約を付けることを強くお勧めします。
特約を付けると、条件にもよりますが0.1%とか0.2%とか金利が上乗せになりますが、月額1万いかないくらいの保険料になると思います。
これで、重大疾病にかかったときに最大数千万円の住宅ローンが無くなるのであれば、がん保険よりもはるかに安い費用です。
ちなみに、関谷さんは今住んでいる家の団信保険にはがん特約を付けなかったので、残念ながら完済してもらえませんでした。
12年前の住宅ローンを組むときに、黙ってがん特約を付けておけばよかったと後悔しています。
まあ、しょうがないさね。
まとめ
今回の話はここまでです。いかがでしたでしょうか。
20代、30代の頃は自分の健康を二の次にしているところがありましたが、健康って本当に大事です。
そして、
健康を損なったときに備えておくことも本当に大事です。
出来る限り実体験に基づいて書きましたので、参考になれば幸いです。
では、次回につづきます。