はじめに
今回は、初めて手術室に入って全身麻酔したところまでの話を書きます。
全てが初体験だったので、いろいろ衝撃を受けました。
ちなみに、2022年3月に人間ドックでがんが見つかり、5月に手術を行い悪いところを全て摘出し、
今は、ほぼ回復して元気です。
大まかなところは、こちらの記事を参照ください。
では、興味のある方は、次項以降をお読みください。
はじめての手術
手術前日から入院
入院は、5月2日の手術日の前日5月1日の昼過ぎでした。
病室に案内されてからは、おなかの中を綺麗にするために下剤を飲み、便が綺麗になるまで下剤を飲む、そしてトイレに行くの繰り返しでした。それ以降は何も食べずに、後は翌日に備えて寝るだけでした。この日も朝4時半に起きてランニングと筋トレをしていたので、身体が疲れていたせいか、20時過ぎると眠気に襲われて寝てしまいました。
病室から手術室に移動
手術の開始は9時からだったので、病室で8時半ごろにローブのような手術着に着替え、8時50分に病室を出て、手術室の前にある部屋で当日の手術内容を確認するための場所に通されました。9階にある病室から3階にある手術室には看護師さんに連れられて歩いて移動しました。看護師さんが病室に迎えに来た時には、死刑執行のタイミングが来たかのような気持ちになりました。手術室に移動する間は、これからおこる事の緊張で、もう何も考えることが出来なくて、ただただ恐ろしいと思っていました。一緒に移動してくれた看護師さんも緊張しているのがわかるようで、「昨日はよく眠れましたか。」とか、「先生に任せれば大丈夫ですよ。」とか、「全身麻酔がかかってしまえば、後は手術が終わるまで何も意識する事はないので大丈夫ですよ。」などと声をかけてくれました。「これから起きることが恐ろしくて緊張マックスです。」といったように心情を吐露しつつ会話をすると、会話に気持ちが割かれるせいか、少し気持ちを落ち着かせることが出来ました。また、手術室に案内してくれた看護師さんは、26歳のかわいい看護師さんで、「ICUから無事に病室に戻ってくるのを待ってますね。」と言われた時には、ほんわかしたものです。ああ、関谷さんちょろいなと思った瞬間です。こんなだから、過去にすすき野でぼったくりにあったりするのよね。(笑)
手術前の確認
手術室の前の部屋まで来ると、椅子に座らされて、名前、生年月日、これから行われる手術の内容について聞かれたので回答しました。名前と生年月日以外に手術の内容も患者に言わせるのは、患者を取り違えないようにするための施策だそうです。そして、今回行われる手術の概要と、全身麻酔の導入についての概要説明を受けました。詳細の説明は既に受けているので、ここでは確認のための概要説明にとどまりました。
はじめて入った手術室
確認が終わったらすぐに手術室に移動しました。手術室に向かうまでの途中では、手術終了後に居ることになるICUの部屋を紹介されました。でも、心ここにあらずの緊張状態なので、何を言われたのか全くわかりませんでした。歩いて移動したわけですが、足取りは当然のように重く、死刑台に向かう気持ちでした。そして、緊張と恐ろしさでストレスマックスの状態で手術室に通されました。ここで関谷さんの緊張値は最大となります。なぜなら、初めて見たリアルな手術室は、医療系のテレビドラマなどで使われる手術室のようにすっきりして、なんとなく機材が並んでいるだけの薄っぺらい部屋などではなく、もっとはるかに生々しくて、真ん中に手術台があり、それを取り囲むように様々な機器や、何に使うのかわからない器具(見た感じとがってるし、長いし、鈍器みたいで恐ろしい)がずらっと並んでるし、何台ものモニターがずらっと配置されていて、さながら飛行機や宇宙船などで何に使われるのかよくわからないスイッチがずらっと並んだコクピットのようでした。初めて目にした光景に驚き、軽い貧血でくらくらした覚えがあります。手術室には、いったい何人で手術に取り掛かるのかというくらいたくさん医師及び看護師がいました。ざっと15人から20人くらいいたような気がします。そういえば、大腸の専門チームと、肝臓の専門チームで手術に当たると説明されていたことを思い出しました。そして彼らは、機器や器具の最終確認を行っている人もいれば、関谷さんの内臓を3Dで映したモニタに向かって手術内容の最終確認と、注意点について真剣に話し合っている医師及び看護師もいました。医師も看護師さんも緊張しているように見えました。こんなにたくさんの人が、関谷さんの手術に関わってくれるのかということに、緊張している状況ながらも、本当にありがたいと思いました。手術中は全身麻酔がかかるので、意識的に頑張れることなんてないのだけど、「頑張れくれよ関谷さんの身体!」と思った瞬間でした。
手術台の上に乗りました
そして、案内してくれた看護師さんに促されて手術台の上にあおむけの形で寝そべりました。「ああ、きちまったよ。もうどうにもできないので、医師及び看護師さん本当によろしくお願いします。」とつぶやいた覚えがあります。この時、何人かの看護師さんが笑顔で大丈夫ですよと言ってくれたことに、かなり救われた覚えがあります。で、声をかけてくれた看護師さんは、帽子とマスクとゴーグルをしている状態でも美人さんであることがわかったので、「やっぱり美人のお姉さんはいいねえ」なんて思ったり、せわしなく仕事をしている看護師さんのお尻が丁度目線の高さにあったため、「まあるいお尻はおいしそうねえ」なんて思えるあたり、業が深いなとほんと思いました。また、手術着の下はパンツのみなのですが、恥ずかしさなどよりも、怖さと緊張感が勝って何も感じない状態でした。そして、全身麻酔の前段階の背骨の間に麻酔薬を投与するためのカテーテルを挿入する事となります。
はじめての全身麻酔
手術が行われる1週間ほど前に、全身麻酔の詳細説明を受けていたのですが、その内容が今まで経験したことのないものなのでとにかく恐ろしかったです。簡単に説明すると、横に寝ている形(横臥位というそうです)になり膝を両腕で抱えて背中を丸めた状態になり、背中の真ん中あたりの背骨の間に麻酔を入れるカテーテルを挿入して、そこから麻酔薬を投与できるようにします。当然カテーテルを挿入する際に痛みがあるので、カテーテルを挿入する前に導入部分の背骨の間に麻酔を注射します。冷たい指が麻酔を注射する位置を確認するために背骨の数を上から数え、場所が決まると身体が動かないように何人かの看護師さんに手と足と身体が押さえられて注射針が指されました。針が刺さる痛みと、注射薬が注入される違和感で泣きそうになりました。その後、カテーテルをずずっと背骨の間から導入されて深いところまで挿入するのですが、その間、麻酔が十分に効いていなかったのか痛みがありました。痛そうにしていたことに気づいた身体を押さえていた看護師さんに大丈夫かと問われたので、「痛くて泣いちゃいます。」と応えた覚えがあります。すると、医師が「麻酔注射追加して。」の声で麻酔を追加で2本打たれて、背中の感覚はなくなりました。それでも、何かが背骨の間から入ってくる違和感がひどく、カテーテルを導入している間は、看護師さんの腰に抱き着いて手をぎゅーっと握って耐えていました。この時、手を握ってくれた看護師さん、何かに縋りたかった心持だったので、とても助かりました。本当にありがとうございました。このカテーテルの挿入が終わると、何か握ってられるようにスポンジなのかタオルなのかを握らされました。看護師さんの手の方が暖かくて良かったのですが(笑)
そして意識が途切れた
問題なく背中のカテーテルの導入が終わると、手術台の上であおむけになり、両腕を開いた状態でベルトで固定され、足もベルトで固定されて動かないようにされて、身体に手術する部分だけが切り取られたシート?がかぶせられて、これから手術が始まるという状況になりました。ジェットコースターで最高地点にたどり着き、落ちる直前のような心境です。目の前には、無影灯があり、自分の周りに何人もの看護師さんと医師がせわしなく動いているのがわかりました。そして、全身麻酔をかけるために、口にマスクが当てられました。「全身麻酔のためのガスが出てきます。喉の奥がしみるような感覚になりますよー。」という看護師さんの言葉を聞き、「はい」と返事をして、確かに喉の奥がしみるようだと思ったのを最後に意識が途切れました。
手術中は何もわからない
そこから先は、ICUで目が覚めるまで何をされたのか全く分かりませんでした。
みぞおちから、おへその上まで切られ、そこから右わき腹まで切られて大腸の切除及び肝臓の半分を切除する大手術だったのにもかかわらず、手術中に何かされていた感覚は全くなく、当然痛みもない状態でした。全身麻酔本当にすごいと思います。
ただ、目が覚めた時の痛みと違和感言ったら、すさまじいものがありました。
まとめ
今回の話はここまでです。
大きな手術を受けるのは初めての経験でしたので、あらゆることが恐ろしかった覚えがあります。
事前に医師や看護師さんがたくさん説明してくれたのですが、実際に手術室に足を踏み入れると、インパクトが強くて現実を直視するのに時間がかかりました。途中で、目から入る情報を処理するのを止めて、考えるのも止めて、看護師さんと医師の指示に従うロボットになりきることで乗り越えようとした覚えがあります。この試みは成功したようで、手術室に入る前からICUで目が覚めるまでの記憶は少しおぼろげなのです。
全身麻酔のおかげで、手術中に痛みを感じることはなく、無事に予定通りがんを切除できたので良かったです。
手術後に目が覚めた時に、「関谷さん、悪いものは全部とれましたよ。」と担当の医師に声をかけてもらったときには安心しました。
そしてこの後は、しばらくの間、痛みと違和感に耐えて、リハビリを行うことになります。この話は次回以降にしようと思います。
では、次回につづきます。